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バーチャルワールドオブザイヤー2007 後編               

 

   取材日:2008.2.07  ライター: Yabush Yamdev


 

17:05〜Virtual World of the Year 2007 授賞式


開会から約2時間、メインイベントである授賞式が始まった。

司会の箱田氏による6部門の紹介に続いて、審査委員長を務めたデジタルハリウッド大学・

大学院学長/工学博士の杉山 知之氏を筆頭に、井芹 昌信氏(株式会社インプレスR&D

代表取締役社長)、河口 洋一郎氏(アーティスト)、山口 浩氏(駒澤大学グローバル・メディア

スタディーズ学部准教授)の4人の審査員が登壇した。

 


いよいよ各部門の大賞と審査員特別賞、特別賞の発表だ。

各部門のノミネート作品/企業は下記のとおり。

 

 

デザイン部門:バーチャルワールド体験の質を高めることに貢献した3Dデザインを表彰
 ・兼六 Kenroku     

 ・漆紅 (sick)
 ・京都幕末・長崎幕末    

 ・Cocololo Island
 ・Blue Ravine     

 ・上野樹里アバター (大塚製薬ファイブミニ)
 ・KABUKI     

 ・吉祥寺「いせや」

 

コミュニティ部門:バーチャルワールドにおけるユーザー間のコミュニティ形成に貢献した

 取り組みを表彰
 ・マグスル      

 ・じゃぱらんど〜日本列島プロジェクト〜
 ・SLing (スリング)    

 ・Jabara Estate in Second Life
 ・ASUKA GRAND CROSS    

 ・Neo Kowloon (ネオクーロン)
 ・メルティングドッツSIM群   

 ・NaviSL (ナビスル)
 ・SLMaMe (ソラマメ)    

 ・エイベックス・エンタテインメント

 

話題部門:バーチャルワールドの普及・認知度の向上や体験の質向上に貢献したコンテンツ、

 活動、人物、企業等を表彰
 ・セカンドライフでの音楽活動  

 ・Vistaたん
 ・スキージャンプ・ペア(バーチャル東京内) 

 ・Norika Wedding Style Ryugu Church
 ・日本テレビ・デジタルの根性  

 ・セカンドライフマガジン
 ・Virtual World Walker   

 ・東京タワー (Dejima SIM)
 ・ショートムービーCMグランプリ -セカンドライフからカンヌ広告祭へ-

 

企画部門:バーチャルワールドの特徴を生かし、その有用性や娯楽性の検証・認知に貢献した

 取り組みを表彰
 ・SENGOKU      

 ・ぜんたねTV
 ・テレビ東京・テレトロ祭り   

 ・八国山アイランド
 ・平成19年新潟中越沖震災募金活動  

 ・リクルート・R25的ガク祭
 ・バーチャルワールドカンファレンス2007 

 ・バーチャルワールドサミット2007
 ・Machinima Studios    

 ・memoris SIM 墓地公園

 

テクニカル部門:バーチャルワールドにおける技術的課題の解決・改善に貢献した技術的

 取り組みを表彰
 ・日経アーキテクチュア・Second Life建築コンペおよび建築デモ(日経BP社)
 ・ブレイン・コンピューター・インターフェース技術 (慶應義塾大学)
 ・携帯ビューア(株式会社SUN)
 ・ブラウザ経由でセカンドライフに接続「Movable Life」(3Di株式会社)
 ・企業面接支援システム(株式会社フォスターネット)
 ・チャット翻訳HUD「EXP」(EXP株式会社)
 ・HUD型広告配信サービス「cozchi(コズチ)」(インテリジェントネット株式会社)
 ・セカンドライフとWebでチャットやIM。多目的ツール「sl-ime(スライム)」株式会社メタバーズ/

  株式会社エイブル・シード
 ・アバターの行動やチャットを記録するHUDツール「mementa(メメンタ)」(有限会社アドリブ)
 ・セカンドライフないから更新できるミニブログサービス「Wassr(ワッサー)」(株式会社モバイルファクトリー)

 

企業部門:バーチャルワールドの特徴を生かした活動を展開し、企業によるバーチャルワールド       活用の検証・普及に貢献した企業を表彰
 ・株式会社ミクシィ     

 ・日本電気株式会社
 ・富士通株式会社     

 ・日本IBM株式会社
 ・株式会社三越     

 ・株式会社フジテレビジョン
 ・株式会社メタバーズ    

 ・デジタルハリウッド株式会社
 ・レゾナント・ソリューションズ株式会社

 


審査員を務めた杉山 知之氏、井芹 昌信氏、河口 洋一郎氏、山口 浩氏(左から)。

 


部門別にノミネート作品/企業が紹介され、その後、審査員が大賞を発表。

審査員の講評のあと、トロフィーを授与された受賞者たちは受賞の喜びを語った。

また今回は、これら6部門の大賞に加えて、「審査員特別賞」と「特別賞」の2賞も併せて発表された。

 

デザイン部門 兼六 Kenroku


新田 一也氏

【講評】河口 洋一郎氏
 「兼六」は、非常に叙情的でみずみずしく、完成度が高い。

 見る人にとって入りやすいところも評価を受け、企画部門の大賞に選出しました。


【受賞者コメント】株式会社エイブル・シード取締役新田 一也氏
 石川県で活動しているエイブル・シードの新田といいます。このたびはデザイン部門の大賞に選ばれ、

 非常に光栄です。ありがとうございました。


■Kenroku SIM:http://slurl.com/secondlife/Kenroku/128/128/0

 


コミュニティ部門 Neo Kowloon (ネオクーロン)

井上 幸喜氏

【講評】井芹 昌信氏
 「ネオクーロン」には、「クーロンズ・ゲート」というゲームが好きだった方たちが集まってできた

 コミュニティがあります。しかも、それはセカンドライフだけでなく、SNSを組み合わせたものです。

 セカンドライフでは、1つのSIMに入れる人数は最大100名程度です。非常に濃厚なリアルタイム・

 コミュニケーションが行われるという特徴がありますが、人数の少なさがウィークポイントとも言われます。

 一方、SNSの場合、理論的には何百万人もの人が参加できます。
 ネオクーロンは、仮想空間がもっているある種のウィークポイントをSNSというメディアで補完して、
 非常にいい形のコミュニケーションの場を作った点を評価しました。


【受賞者コメント】有限会社ジェットグラフィクス代表取締役社長井上 幸喜氏
 デザイン部門ではちょっと自信があったんですが、ノミネートされたのはコミュニケーション部門でした。

 そうそうたる面々の競争があるなかで、「ぼくらは、大賞をとれなくてもいいよね」と諦めがあったんです

 が、こういった賞をいただくことができました。今回は、ありがとうございました。


■Neo Kowloon SIM: http://slurl.com/secondlife/kowloon/128/128/0
■Neo Kowloon Website:http://www.jet-graphics.com/kowloonindex_K.html

 



話題部門 日本テレビ・デジタルの根性

若井 真介氏

 

【講評】山口 浩氏
 この部門はいろいろなカテゴリーが交じっていて、選考が非常に難しかった。
  今回は、リアルメディアでバーチャルワールドを一般に広めた功績を評価して、「デジタルの根性」を大賞 
 に選出しました。地上波テレビは、大きな影響力を持っています。
 その地上波テレビがバーチャルワールドをレギュラー番組として取り上げました。
 話題性という点でも、「デジタルの根性」を外すことはできないだろうと思います。

 

【受賞者コメント】日本テレビ放送網株式会社「デジタルの根性」チーフプロデューサー若井 真介氏
 私は、「デジタルの根性」チーフプロデューサーの若井と申します。ありがとうございました。

 4人登壇しましたが、実は「デジタルの根性」は大体これだけでやっているということです。

 それぞれ本業があるんですが、副業でSIMの製作から始まって、この4人でやっています。

 チーフプロデューサーの立場からいうと、美術セット費が非常に安く、ただに近い。制作費という面では

 非常に助かります。4月以降もセカンドライフを主軸としますが、少しずついろいろな他のメタバースも

 散歩しようという計画があります。


■Shiodome Island SIM:http://slurl.com/secondlife/Shiodome%20Island/128/128/0

■Shiodome Island Life Website: http://www1.ntv.co.jp/sl/index.html

 

 

 
企画部門 平成19年新潟中越沖震災募金活動


中西 智陽氏


【講評】井芹 昌信氏
 企画部門は何を評価すべきかいろいろな観点があり、審査が難しい部門ですが、今回は公共性という

 側面をもっとも評価しました。仮想世界において、企業と個人の活動は充実してきました。

 とくに環境問題が注目されている今、新潟中越沖震災募金活動は、公共面の問題も仮想世界の活動

 で解決できるのではないかというところから始まった企画ではないかと思われます。
 その点を評価して大賞に選出しました。また、これまで数回に渡って募金活動を行い、
 すでに1回当たり20万リンデンドル以上の金額を寄付されています。
 その実質的な部分も評価させていただきました。

【受賞者コメント】セカンドライフ内新潟県中越沖地震災害支援グループ「サポーターズ」

 中西 智陽氏(アバター名:bartomo Kline)
 私はこの活動の「言い出しっぺ」として登壇させていただきましたが、大賞を受賞できたのは、
 この活動を支えてくれた「サポーターズ」というグループに参加して頂いた方、またこの募金活動に
 参加していただいた方、そういったすべての方々の活動の結果だと思います。
 本当にありがとうございました。


■niigata SIM:http://slurl.com/secondlife/niigata/128/128/0



テクニカル部門 チャット翻訳HUD「EXP」


野村 毘成氏

【講評】山口 浩氏
 テクニカル部門のノミネート作品のほとんどは、バーチャルワールドとリアル世界をつなげるもので、

 ユーザーインターフェイスを改善するものと、ビジネスの可能性を広げるものに大別されます。
 大賞を受賞したチャット翻訳HUD「EXP」は、ユーザーインターフェイスを改善するものです。
 ノミネート作品はそれぞれ魅力的でしたが、総合的に見て使い勝手がよく、すぐ使えて便利で、
 みんなが使える。そういった点を評価して、大賞に選出しました。


【受賞者コメント】EXP株式会社代表取締役野村 毘成氏
 ノミネート作品はどれもユニークで素晴らしいものばかりで、その中でこういったコミュニケーション

 ツールが受賞したことを嬉しく思います。今後、こういったツールを、セカンドライフばかりでなく、

 色々な仮想空間で開発していきたいと思います。どうもありがとうございました。


■ENTAMA SIM (チャット翻訳HUD「EXP」入手場所):

 http://slurl.com/secondlife/ENTAMA/117/92/27

 



企業部門 デジタルハリウッド株式会社


三淵 啓自氏

【講評】井芹 昌信氏
 デジタルハリウッドは、セカンドライフという仮想空間のテクノロジーの可能性を、日本で誰よりも早く

 確信され、セミナーや講演会などをとおして日本における仮想世界概念の啓蒙・普及・教育に非常に

 大きな役割を果たされました。なかでも三淵先生率いられるセカンドライフ研究室は早期に設立され、

 そこで学ばれた方々が、いまセカンドライフを代表とする仮想世界のクリエイティブな活動や事業を

 牽引されています。そうした実績も評価し、企業部門の大賞に選出しました。


【受賞者コメント】デジタルハリウッド大学院教授三淵 啓自氏
 これまで色々な方のサポートを受けて、ここまでこられました。メタバースの方向性、またセカンドライフ

 の可能性を、まだまだ伝えきれていないのではないかと思っています。皆さんのサポート、また皆さんの

 企業努力によって、これからもメタバース、セカンドライフが発展していけばと思っていますので、よろしく 

 お願いします。今日はありがとうございました。


■デジタルハリウッドWebsite:http://www.dhw.co.jp/

 



審査員特別賞 セカンドライフでの音楽活動

※受賞者様のご希望により写真掲載は控えさせて頂きます。

【講評】杉山 知之氏
 セカンドライフの中で自主的に音楽活動を始められる方がいます。もちろん、プロのミュージシャンの

 方もいますが、まったくそうじゃない、ふだんはサラリーマンの方が自分の曲を作って演奏する。

 そこに、ファンになった人たちが集まる。さらに、じゃぱらんどのプロデューサーであり、

 音楽プロデューサーであるシャ乱Qのはたけさんのような方とコンタクトをとって曲を作って話題をまき、

 スタジオに入ってレコーディングまでして、リアルな場所でも演奏する。

 こうした流れのなかで「紅白歌合戦(-Infinity-Music Festa 2007 in Second Life)」も開かれ、

 セカンドライフではどこにいても素晴らしい音楽活動ができるということを示してくれました。

 セカンドライフの新たな面を見せてくれたことも含めて、「セカンドライフでの音楽活動」に審査員特別賞を 

 贈りたいと思います。


【受賞者コメント】

 Shirotan Kiddさん:
 セカンドライフでは、自分の楽しみ、自己満足的なところから音楽活動を始めました。

 それがこのような形で賞をいただき、いろいろな方と出会い、一緒に楽しめる時間ができたことを

 嬉しく思います。どうもありがとうございました。

 Johnny66 Rhodeさん:
 GOLD SEVENTEENというバンドのJohnnyです。もともとリアルでもバンドをやっているんですが、

 これからも積極的にセカンドライフはもちろん、それ以外のいろいろな可能性を考えて、リアルと

 バーチャルワールドを繋がるきっかけになればいいと思っています。よろしくお願いします。

 Solary Claryさん:
 Johnnyさんと同じように、リアルだけでなくセカンドライフでもライブをやっています。セカンドライフでは、

 あらためて音楽のよさ、人の温かさやつながりを感じています。これからもよろしくお願いします。

 2月23日に、東京・六本木のライブハウス「バウハウス」で2回目の「SLアーティスト大集合ライブ」を行い  

 ます。よかったら、ぜひ来てください。ありがとうございました。


■SLA (Second Life Artists) Website:http://secondlife.mods.jp/sla/


 

 


特別賞 八国山アイランド


竹内 麻朗氏(写真左) ※写真右はリンデンラボ社土居氏

【講評】リンデンラボ社日本担当マネージャー土居 純氏
 2007年は、セカンドライフにとって非常に活発な1年でした。さまざまな活動があったので、特別賞を

 どう選べばいいのか迷いました。でも、さまざまな企業のあり方のなかで、世の中をよくしていきたい

 という気持ちで社会貢献活動に徹したインターリンクの「八国山アイランド」に贈ることを決めました。

 おめでとうございます。


【受賞者コメント】株式会社インターリンク セカンドライフ事業部マネージャー竹内 麻朗氏
 本日はこのような賞をいただき、誠に身に余る光栄でございます。今後もボランティア活動を通じて、

 少しでもメタバースの発展に貢献できればと考えています。ありがとうございました。


■Hachikoku yama SIM:http://slurl.com/secondlife/Hachikoku%20yama/128/128/0

 


審査委員長総評 杉山 知之氏

ステージに勢揃いした受賞者の皆さん

 

審査員も、こうしたバーチャルワールドの審査に慣れていません。

セカンドライフを中心にバーチャルワールドを見ていくと、今回のノミネートを見ていただければ

おわかりのように、いったいどんな部門で評価すべきかという問題もあります。
なおかつその活動は多岐にわたるため、普通に比べることができません。

セカンドタイムズの努力によって部門が分けられ、ノミネート作品も部門ごとに振り分けられました。

また、ネットによる投票もありましたので、そちらも考慮して、十分討議をして審査を行いました。

「これはどうかな。これが大賞だろうか。我々のほうがよかったんじゃないか」と思ってらっしゃる関係者の

方もいると思います。でも、どなたも架空の世界に非常な時間と人を注ぎ込み、情熱をもってこの世界を

広げている。2007年は非常に意味のあった1年間でした。

また、それをこういった賞という形で皆さんにもう一度問える機会を得たのは、
バーチャルワールド全体にとってよいきっかけになったと思います。

セカンドタイムズにもお願いしていますが、こういった賞は続けることに意義があります。
第1回に受賞された方々にとっても、続けることで意味が出てきます。
是非是非、来年もこういった場があることを望みます。

 

現在はセカンドライフが横綱のようなバーチャルワールドです。
しかし、今年は国内でもたくさんのプラットフォームが出てきますので、
バーチャルワールドの新たな発展の年になると思います。
バーチャルワールドの時代はなかなか来ないじゃないかという人もいるかもしれませんが、
ぼくはこういう世界が来ると信じて、4分の1世紀くらい前からこつこつとやっているわけです。

バーチャルワールドは絶対に進んでいく世界です。
ここにいらっしゃる方は関係者の方ばかりだと思いますが、是非、この世界を多くの人々がこれはすごい、これは楽しいと思うようなものにしていきたい。
そういう意味でも、こういった大賞を出すことは重要だと思っています。
これからも支えてください、お願いします。今日はありがとうございました。